企業経営とメンタルヘルス対策応用問題
I社では、営業部のA課長が部下10人の中から3人に対して日常的に叱責・無視・業務排除を繰り返しているとの申し出が人事部に寄せられた。A課長本人は「指導の範囲内」と主張している。この状況で企業が負うリスクとして最も適切に説明しているものはどれか。
A.パワーハラスメントが認定された場合、被害者の精神的損害に対する使用者責任(民法715条)を問われる可能性があるが、加害者個人の法的責任は生じない。
✗ 加害者個人も不法行為責任(民法709条)を問われる可能性があり、企業のみが責任を負うわけではない。
B.A課長の行為が「業務上の適正な指導」と認められれば、企業側の安全配慮義務違反が問われることは一切ない。
✗ 適正指導かどうかの判断は客観的に行われ、企業は安全配慮義務の観点から適切な調査・対応が求められる。
C.パワーハラスメントに該当すると判断された場合、被害者への安全配慮義務違反として企業が民事上の損害賠償責任を負うとともに、組織風土や人材確保の面でも重大なリスクが生じる。← 正解
✓ 正解です。使用者としての安全配慮義務違反による損害賠償リスクと、組織的・評判的リスクの両面が生じます。
D.人事部への申し出があった時点で企業の対応義務は発生しないため、当事者間での解決を促すにとどめることが最善である。
✗ 申し出があった時点で企業はハラスメント防止措置義務(労働施策総合推進法)に基づく対応が求められる。