民法・民事訴訟法応用
AはBに対して120万円の金銭債権を有しており、その弁済期が到来した。一方、BもAに対して90万円の金銭債権を有しており、その弁済期も到来している。この場合、相殺に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
A.AはBに対して相殺の意思表示をすることにより、Aの債権120万円とBの債権90万円を対当額で消滅させ、差額30万円の債権のみを残すことができる。
✓ この記述は正しい。相殺により双方の債務は対当額で消滅し(民法第505条)、残額30万円のみが残ります。
B.相殺の意思表示は条件または期限を付することができない。
✓ この記述は正しい。相殺の意思表示には条件・期限を付することができません(民法第506条第1項但書)。
C.AがBに対して相殺の意思表示をした場合、その効力は意思表示が相手方に到達した時点から将来に向かってのみ生じる。← 正解
✓ 正解です。この記述が誤りで、正しくは相殺の効力は双方の債務が相殺適状になった時点に遡及して生じます(民法第506条第2項)。将来に向かってのみ生じるという記述は誤りです。
D.BがAに対して不法行為によって損害賠償債権を取得した場合、Aは自己のBに対する貸金債権をもって相殺することはできない。
✓ この記述は正しい。不法行為によって生じた損害賠償債権を受働債権とする相殺は、不法行為の被害者保護のため禁止されています(民法第509条)。
この問題のポイント
この記述が誤りで、正しくは相殺の効力は双方の債務が相殺適状になった時点に遡及して生じます(民法第506条第2項)。将来に向かってのみ生じるという記述は誤りです。